相続の基礎知識

相続が発生したら

大切な方を亡くされ、ご家族の皆様のお悲しみはいかばかりかとお察しいたします。
謹んでお悔やみ申しあげます。

ご葬儀等で忙しい日々を過ごされ、ほっと一息されていらっしゃるでしょうか。

相続が発生いたしますと、ご葬儀等の他もいろいろな手続きが必要となります。
しかも、相続放棄や税金の申告など、“いつまでにしなければならない”と決まっているものもありますので注意が必要です。

残念ながら、ほっとするのも束の間の感じられてしまうことでしょう。

「相続」は、人生の中でそう何度も経験するものではありません。
ほとんどの方が“はじめての事なので何から手を付ければよいか分からない”とお困りなのではないでしょうか。
そこで、当事務所では、相続手続きでお困りの方をサポートするため、相続登記だけではなく、相続手続き全般に関するサービスをご提供しております。

時間が経てば経つほど、問題は複雑になり、解決に時間も費用もかかりますので、早めに手続きをされることをお勧めします。

死亡=相続開始

遺言書の有無を確認・相続財産の調査、確定・相続人の調査、確定

遺言書がある→公正証書遺言以外は検認手続き→遺言に従って相続手続きを行う

遺言書がない→相続方法の選択

相続放棄・限定承認

→家庭裁判所へ申立て(相続開始を知ってから3ヶ月以内)

単純承認

→遺産分割協議(相続人全員)

相続財産の種類

人が亡くなると、その方が生前に持っていた一切の財産上の権利・義務を、その方と一定の親族関係にある者(相続人)が承継します。

相続の対象となる財産は、不動産や預貯金などの、いわゆるプラスの財産だけではありません。その方の生前の借入金や損害賠償の義務などのマイナスの財産もその対象とされます。

権利=プラスの財産

(例)
  • 不動産(土地、建物)
  • 不動産上の権利 (借地権、地上権など)
  • 現金、預貯金、有価証券などの金融資産
  • 貸付金、売掛金などの債権
  • ゴルフ会員権
  • 動産(貴金属、骨董美術品、車など)

義務=マイナスの財産

(例)
  • 借入金、住宅ローン、未払い入院費、買掛金などの支払債務
  • 公租公課(未払いの所得税、住民税など)
  • 保証債務

POINT!

被相続人の一身に専属した財産や地位は相続財産とはなりません

相続財産とはならないものの例

  • 雇用労働者の権利義務、扶養請求権、委任上の権利義務
  • 身元保証人としての地位
  • 墓地、霊廟、仏壇仏具、神具などの祭祀財産
  • 死亡退職金、生命保険金

相続財産の承継人

相続財産を受け継ぐ.ことができるのは、法定相続人のほか、受遺者特別縁故者です。

法定相続人

配偶者

亡くなった方の妻、または夫。

配偶者は下記の順位の相続人と共に常に相続人です。別居中であっても婚姻関係にあれば相続人になります。

一方、夫婦のように暮らしていても、婚姻関係にない、いわゆる内縁の配偶者は相続人とはなりません。

子(直系卑属)

被相続人に子がいる場合は、第一順位の相続人となります。子が被相続人より先に亡くなっている場合は、孫(直系卑属)が代襲相続人となります。

「子」には、嫡出子の他、非嫡出子、胎児、養子も含まれます。

但し、非嫡出子の場合は、認知されていなければ「父親の相続」に関しては相続人にはなりません。また、胎児が死産してしまった場合、胎児は初めから相続人ではなかったことになります。

さらに、養子のうち、普通養子は養親の相続人にも実親の相続人にもなり、特別養子は養親の相続人としかなりません。

直系尊属

被相続人に直系卑属がいない、あるいは全員が相続を放棄している場合、父母、祖父母ななどの直系尊属が“親等の近い順”に、第二順位の相続人となります。

兄弟姉妹

被相続人に直系卑属も直系尊属もいない、あるいは全員が相続を放棄している場合、兄弟姉妹が、第三順位の相続人となります。兄弟姉妹が被相続人より先に亡くなっている場合は、甥姪が代襲相続人となります。

父母のどちらか一方を同じくする兄弟姉妹(半血の兄弟姉妹)も相続人となりますが、相続分は、父母を同じくする全血の兄弟姉妹の2分の1となります。

受遺者

遺言によって、財産の受取人として指名された者

特別縁故者

法定相続人も受遺者もいない場合、ある一定の条件のもとで家庭裁判所に申立て、それを認められた者

(例)
  • 被相続人と生計を同じくしていた者(例:内縁の妻、事実上の養親子)
  • 被相続人の療養看護に努めた者
  • その他被相続人と特別の縁故があった者

相続手続きに必要な戸籍の種類

相続登記、預貯金の名義変更、株式の名義変更、遺族年金の受取、保険金の受取・・・・

様々な相続手続きの場面で、「戸籍」の提出を求められます。

「戸籍」とは、日本国民の出生、親子関係、養子関係、婚姻、離婚、死亡などの身分関係を公に証明するもので、明治5年戸籍制度開始からの流れの中でいくつかの種類と形式に分かれています

戸籍「謄本」と戸籍「抄本」の違い

「謄本」とは、記載されている内容の全部の写しであり、「抄本」は、記載されている内容の一部の写しをいいます。

戸籍謄本:一つの戸籍に記載されている全員の記載事項を写したもの
戸籍抄本:一つの戸籍に記載されている一部の人に関する記載事項を抜き出して写したもの

戸籍がコンピューター化されてからは、戸籍謄本を“戸籍全部事項証明書”、戸籍抄本を“戸籍個人事項証明書”とよんでいます。

除籍謄本(抄本)

「除籍」という言葉には2つの意味があります。

1つは、ある戸籍に記載されている人の一人が婚姻や死亡によって戸籍から除かれることをいい、もう1つは、ある戸籍に記載されている全員が婚姻や死亡、あるいは転籍によって、結果としてその戸籍に誰もいなくなったため、閉鎖された状態の戸籍をいいます。

除籍謄本(抄本)とは、後者の“全員が除かれた戸籍”のことです。

誰か一人でもその戸籍に残っていれば、除籍謄本(抄本)を取ることはできません。

「転籍」とは、戸籍の所在地(本籍地)を別の所在地へ移すことをいいます。

改製原戸籍謄本(抄本)

明治5年に戸籍制度が始まってから、法律の改正やコンピューター化などによって、戸籍は何度か作り直されています。これを「改製」といます。

そして、“改製される前の戸籍”のことを「改製原戸籍」といいます。

「亡くなった方の出生から死亡までの戸籍を」と言われた場合には、この改製原戸籍を取得することが多くなります。

改製の際は、その戸籍に在籍する人(除籍されていない人)だけを新しい様式の戸籍に写しかえられ、改製前に除籍された人は省略されます。例えば、改製前の戸籍には出生届が出され在籍していても、改製までの間に亡くなっていれば、新しい様式の戸籍にその人については記載されません。

戸籍の取得

戸籍は、戸籍の種類に関わらず、“その戸籍”がある「本籍地」の市町村役場でしか取得することができません。

住所地と本籍地が同じではなく、本籍地が遠方にある場合などは、郵送で本籍地の役所に申請し、取り寄せることも可能です。

取得方法

  1. 戸籍に記されている本人または代理人が窓口で直接取得
  2. 戸籍に記されている本人または代理人が郵送請求で取り寄せ

代理人が請求する場合は、委任状が必要です。

申請書や委任状は、ほとんどの市区町村のホームページからダウンロードすることができます。

手数料

戸籍謄本(抄本) 1通450円
除籍謄本(抄本) 1通750円
改製原戸籍(抄本) 1通750円