法定後見とは
困った時の「法定後見」!
判断能力が衰えてきている高齢者は、日常生活においてもいろいろな問題に直面しています。お金の管理ができなくなったり、介護や入院が必要になってもその手続きが一人ではできなかったりと。
悪質な業者に騙されて高額な契約をしてしまうこともあるでしょう。
このような方のために、代わりにお金の収支を管理(財産管理)し、生活や入院・介護に関する支援(身上監護)をする後見人を、家庭裁判所への申立によって選んでもらう制度が法定後見制度です。
また、後見人は、本人がしてしまった契約を取り消すこともできるので、詐欺等の被害を防ぐことができます。
法定後見の利用方法
- 認知症の親の代わりに、銀行手続きをしたい。遺産分割協議に参加したい。
- 認知症の親の不動産を売却して、施設の入所費用に充てたい
- グループホームなどの入所手続きを代りにしたい
- 一人で暮らす親が悪徳商法による被害にあわないようにしたい
法定後見制度によって選任された後見人は、申立のきっかけとなった法律行為(例えば、代わりに遺産分割に参加する)だけをすればよいのではなく、本人の利益・財産保護ために援助する義務を大きく負い、通常は、ご本人がお亡くなりになるまでその職務を遂行します。
法定後見制度の種類
後見 | 保佐 | 補助 | |
---|---|---|---|
対象となる方 | 精神上の障害によって、判断能力が全くない方 | 判断能力が全くないわけではないものの、著しく不十分な方 | 判断能力が不十分な方 |
援助者となる者 | 成年後見人 | 保佐人 | 補助人 |
申請者 | 本人、配偶者、四親等内の親族、検察官、市区町村長など | ||
申立時の本人の同意 | いらない | いらない | いる |
援助内容・代理権 | 本人の財産に関するすべての法律行為を本人に代わって行うことができます | 申立の範囲内で、家庭裁判所が決める特定の法律行為について本人に代わって行うことができます | 申立の範囲内で、家庭裁判所が決める特定の法律行為について本人に代わって行うことができます |
同意権・取消権 | 本人が自ら行った法律行為に関しては、日常行為に関するものを除いて、取り消すことができます。 | 民法13条に規定する法律行為について、本人が自ら行うことに同意し、また同意がないまま行った行為を取消すことができます。 | 申立の範囲内で、家庭裁判所が決める特定の法律行為について、本人が自ら行うことに同意し、また同意がないまま行った行為を取消すことができます。 |
民法第13条第1項の行為
- 貸金の元本の返済を受け、または預貯金の払戻しを受けたりすること。
- 借金、または保証人になること。
- 不動産その他の重要な財産を取得、又は喪失すること。
- 原告となって訴訟行為をすること。
- 贈与、和解・仲裁合意をすること。
- 相続の承認・放棄、遺産分割をすること。
- 贈与の申し込みの拒絶、遺贈の放棄、または不利な条件がついた贈与や遺贈を受けること。
- 新築、改築、増築または大修繕をすること。
- 一定の期間を超える賃貸借契約をすること。