死後事務委任契約
- 一人暮らしで身寄りがいないので、万一のとき、葬儀を頼める人がいない
- 身内はいるけど、遠方だし頼りたくない
- 自分の信頼している人に死後の手続きをお願いしたい
死後事務委任契約とは
ご本人が第三者に対し、亡くなった後の諸手続、葬儀、納骨、身辺整理に関する事務手続等について、代理権の範囲を定めて権限を与え、ご本人の死亡後の事務を委任する契約です。
- 死後の処理を頼める身内がいない方
- 身寄りがあっても疎遠である方
- ご自身でいろいろ決めておきたい方
このような方には、お考えいただきたい契約です。
遺言書と死後事務委任契約
遺言書は、“死亡後の財産承継などの法的手続き”について定めておくものであり、遺言書に記載できる内容は法律で決められています。
“葬儀の準備・納骨等の死亡後の事務手続き”は、遺言書の記載事項ではないため、遺言書に記載しても、そのとおりに実現されるかどうかはわかりません。
そのため、遺言書では対応しきれない事務手続きを行ってもらうためには、生前に死後事務委任契約を結んでおく必要があります。
任意後見契約と死後事務委任契約
ご本人がお亡くなりになると、その時点で任意後見契約は終了します。
任意後見人は、あくまで生前の財産管理についての代理人であって、本人死亡後にも当然に財産の管理・処分の権限を与えられてはおりません。つまり、任意後見人は、葬儀や埋葬手続きを行うことはできないのです。
委任契約は、本来、当事者の一方が死亡により当然に終了します。しかし、最高裁判所により、委任契約を結ぶ際に、「委任契約の当事者である委任者と受任者は委任者の死亡によっても委任関係を終了させない旨の合意をすることができる」(最判平4.9.22)と判断されました。契約の際に、“委任者の死亡によっても契約は終了しない”旨の特約を定める事により、委任者の死亡後も委任契約が終了することなく、その効力を保つことができるのです。
したがって、任意後見契約の際に、死後の事務に関する委任契約も結んでおけば安心です。
死後事務委任契約の締結
死後事務委任契約は、ご本人(委任者)が事務手続きをお願いしたい人(受任者)との契約となります。どのような内容を盛り込むかは、委任者と受任者との合意によります。 契約の形式には特別なルールはありませんが、後日、契約の効力が争われないよう作成者本人の意思に基づくものであることを証明するために、任意後見契約・財産管理契約などを締結する際に併せて公正証書として作成することをお勧めいたします。死後にやってほしいことを書面で指示した公正証書を残すことで、家族も頼まれた受任者も、安心してあなたの希望通りに死後の事務処理をおこなうことができます。死後事務委任契約の具体例
- 菩提寺・親族等関係者への連絡事務
- 通夜、告別式、火葬、納骨、埋葬、永代供養に関する事務
- 医療費、老人ホーム等の施設利用料その他一切の債務弁済事務
- 入院保証金、敷金・保証金、入居一時金その他残債権の受領
- 家財道具や生活用品の処分に関する事務
- 行政官庁等への諸届け事務