遺言 Q&A

Q 遺言書の内容の変更や、取り消しは可能ですか?

A 遺言の内容を変更したいときは、変更したい事項について、新たに遺言書を作成すれば可能です。状況に応じて何度でも書き直しをすることができます。一度遺言書を作成したからといって、それに拘束される必要はありません。

遺言を取り消したい場合、自筆証書遺言については、遺言作成者自身の意思によっては破棄するか、取り消す旨の遺言をすることによって可能です。公正証書遺言については、再度公証役場にて証人2人とともに取り消す旨の遺言を作成する必要があります。

Q 父の死後、遺言書が2通でてきました。どちらが有効ですか?

A 作成年月日の新しいものが優先されます。作成年月日の古い遺言と新しい遺言とで、矛盾する内容が書かれていれば、その矛盾部分については新しい遺言が優先します。また、矛盾しない内容であれが、古い遺言でも有効です。

Q 美術品を遺贈する旨の遺言書を書きましたが、施設入所用の資金を作りたいと思います。売ってもいいですか?

A 売却することは可能です。売却したものについては、遺贈の遺言は取り消されたものとみなされます。遺言を書き換える必要はありません。同様に、ある銀行口座の預金を相続させる旨の遺言をしても、その預金を使うことは可能です。

Q 妻と夫婦連名の遺言書を作りたいと思いますが、可能ですか?

A 法律によって、遺言は二人以上の者が同一の証書ですることはできないとされています。ご夫婦それぞれが、別々の用紙にお書き下さい。それぞれ独立した複数の自筆証書遺言を同一の封筒に入れて保管することは可能です。

Q これから生まれてくる胎児に相続させるといった遺言は可能ですか?

A 民法では、胎児は既に生まれたものとして相続権を認めていますので、胎児に相続させる旨の遺言をすることも可能です。その場合、住所氏名がまだないため「妻○○○の胎児」と特定します。

Q 「相続」「遺贈」「死因贈与」の違いはなんですか?

A 「相続」とは、亡くなった人(被相続人)の財産的な権利義務を、その人の子や妻など一定の身分関係にある人(法定相続人)が当然に受け継ぐということです。特定の財産を、特定の相続人に「相続させる」趣旨の遺言があった場合、相続開始と同時に遺産分割を要せず、当然にその財産を取得するものとされています。ただし、「相続させる」のは、法定相続人に限られますので、相続人以外の者に「相続させる」旨の遺言はできません。

「遺贈」とは、遺言によって財産の全部又は一部を、相続人または相続人以外のものに贈与することです。遺贈は遺贈を受ける人(受遺者)の意思とは関係なく、遺言作成者の意思だけ(一方的意思表示)ででき、いつでも取り消し、変更が可能です。

一方「死因贈与」とは、「自分が死んだら○○○を与える」という贈与者と受贈者との“契約”です。契約ですから相手(受贈者)の承諾が必要となります。遺贈と異なり遺言方式にとらわれることはありません。

Q 「秘密証書遺言」ってなんですか?

A 遺言内容を記した書面(パソコン、代筆が可能)に署名押印したものを封筒に入れ、書面に押印した印鑑と同じ印鑑で封印します。それを証人2人と共に公証役場へ行き、公証人、遺言者及び2人の証人がその封紙に署名押印することにより作成されるものです。

その遺言書が間違いなく遺言者本人のものであることが明確にでき、遺言の内容を誰にも知られないですみますが、公証人もその内容を知らないため、遺言書の内容に法律的な不備があると無効となってしまう危険性もあります。