遺言執行者と遺言内容の実現

遺言執行者とは

遺言書に書かれた内容を実現(遺言者の意思を実現し、遺言執行の目的を達成)するため、遺言書によって指定され、または家庭裁判所によって選任される者をいいます。

遺言執行者は、遺言内容を実現するために必要な一切の権利義務を有します。そのため、遺言執行者が指定されると、被相続人の財産は遺言の範囲内において遺言執行者が管理・処分を行うことになり、相続人は、相続財産を勝手に処分することはできません。

遺言執行者の指定

遺言執行者が指定されていない遺言の内容を実現させるためには、残された相続人全員の協力が必要となります。相続人が多数いて、その中に非協力的な人がいると遺言内容の実現がスムーズに進まなくなり、多くの労力と時間が費やされることもあります。

遺言執行者がいれば、相続人の協力がなくても財産の管理・処分が行えるため、スムーズに遺言内容の実現が可能となります。

また、法律により、遺言執行者だけができる行為もあります。

遺言執行者だけができること

認知

遺言で認知をする場合には、遺言執行者は、その就職の日から10日以内に、認知に関する遺言の謄本を添付して、その届出をしなければならなりません。

推定相続人の廃除、取り消し

被相続人が遺言で推定相続人を相続関係から排除する(または排除を取り消す)意思表示をしたときは、遺言執行者は、その遺言が効力を生じた後、遅滞なく、その推定相続人の廃除(または排除の取り消し)を家庭裁判所に請求しなければなりません。

誰を遺言執行者とするか

未成年者と破産者は、遺言執行者になれません。

その他は特に制限はないため、相続人のうちのどなたかでも、受遺者でも結構です。

ただし、遺言執行者の職務には、財産目録の作成から始まり、遺産の名義書換等、法的な専門知識が必要とされる手続きも多くあります。財産や相続人が多く遺言執行の手続きが大変になるなら、遺言執行者には相続において利害関係のない司法書士などの法律専門家を指定しておくと手続きがスムーズに進みます。