遺言の種類

遺言とは、代々受け継がれている財産やご自身が築かれた大切な財産を誰にどのように遺して後世に役立たせるか、ご自身の思いを残す最後の意思表示です。

普通方式

  1. 自筆証書遺言
  2. 公正証書遺言
  3. 秘密証書遺言

特別方式

  1. 死亡の危急に迫った者の遺言
  2. 伝染病隔離者の遺言
  3. 在船者の遺言
  4. 船舶遭難者の遺言

遺言の方法には、上記のように普通方式と特別様式とに種類が分かれておりますが、通常用いられる「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」についてご案内いたします。

自筆証書遺言とは?

全文をご自身で書くのが「自筆証書遺言」です。

(1)全文を遺言者本人が自書する
他の人に書いてもらったもの、パソコンやワープロで打たれたものは認められません。
用紙や筆記具はどのようなものでも構いませんが、改ざんを防ぐという意味では、鉛筆や消せるボールペンは避けるべきでしょう。

(2)遺言書を作成した日を記載する
ご本人が年月日を書いてください。
また、“還暦の日”や“○○回目の誕生日”“平成○年文化の日”など日付が特定できるものは認められますが、“平成○年○月吉日”では日付が特定できないため、無効となります。

(3)遺言者が署名押印する
ご本人が署名してください。
印鑑は認印や拇印でも結構ですが、ご実印を押されるのがよいでしょう。

自筆証書遺言は、遺言の存在や内容を秘密にでき、費用もかからず簡単に作成できるものですが、遺言としての要件が一つでも欠けていると効力はありません。また、あいまいな表現で内容が不明確ですと、相続人間での揉め事の種になりかねません。

さらに、自筆証書遺言は裁判所での「検認」が必要ですので、家族に伝えておきましょう。

ご自身の思いを実現させるには、自筆証書遺言作成にあたって専門家のサポートを受けるか、次の公正証書遺言にされることをお勧めいたします。

公正証書遺言とは?

遺言者が公証人の面前で遺言の内容を述べ、それに基づいて、公証人が遺言者の真意を正確に文章にまとめ作成するのが「公正証書遺言」です。


手数料などの費用はかかりますが、その効力を争われることはなく最も確実な遺言と言えます。

(1)必要な書類を準備

遺言の内容を書いたメモ、実印、印鑑証明書、戸籍謄本、不動産登記簿謄本(登記事項証明書)。固定資産税評価証明書など、公正証書遺言作成に必要な書類を準備します。

(2)証人2人が必要

公正証書遺言を作成するには、遺言者の真意を確保するため、証人2人の立会いが義務づけられています。証人には、ご本人が信頼する親族以外の成人の方にお願いします(配偶者や子共などの推定相続人は遺言内容と利害関係にあるため、証人にはなれません)。適当な証人が見当たらない場合には当事務所でご紹介いたしますので、遠慮なくおっしゃって下さい。

(3)原本は公証役場で保管

遺言作成者には作成した公正証書遺言の謄本(写し)を渡され、原本は公証役場で保管します。ですから、遺言書を紛失したり、隠匿や改ざんをされたりする心配はありません。

(4)検認が不要

自筆証書遺言等と異なり家庭裁判所での検認手続を経る必要はないので、速やかに遺言の内容を実現することができます。